Kate Greenaway (3) - 19世紀末の挿絵 -

  KATE GREENAWAY(1846-1901)

 クレインのところで参考に挙げましたケイト・グリーナウェイ“ MELCOMB MANOR A Family Chronicle ”の「すべての挿絵を載せて欲しい」とか、「初期の絵を見たい」とのリクエストがありましたので、補足として「AUNT LOUISA'S NURSERY FAVOURITE」とを併せてご紹介しておきます。

 両方ともグリーナウェイの本では稀観本に含まれるものです。これらの本で見られる彼女の絵は、後年のものとは顕かに異なっています。「Under The Window」以後に慣れている人には違和感が感じられるかもしれません。
 特に「AUNT LOUISA'S NURSERY FAVOURITE」の中の「Diamonds and Toads」の挿絵、これは最初期の彼女の彩色挿絵となります。全体的に線も表情も硬く感じられ、むしろ後年にはないダイナミックさが際立っています。しかし、この時点ではまだ彼女独自の画風といったものは確立されていないように見受けられます。

 “ AUNT LOUISA'S NURSERY FAVOURITE ”(1870年)

 NURSERY FAVOURITE Diamonds and Toads 01
 (London Frederick Warne, 1870)

 「AUNT LOUISA'S NURSERY FAVOURITE 」には、「Dick Whittington」「 Lily Sweetbriar and Uncle's Farm Yard」など伝承物語や韻律詩(叙事詩)が収録されており、それぞれ異なる挿絵画家により全24枚のクロモリトグラフが入っています。グリーナウェイが手がけた「Diamonds and Toads」の挿絵は6枚です。いずれもサインは入っていません。

 Diamonds and Toads 02 Diamonds and Toads 03

 この「Diamonds and Toads」ですが出版後に非常に高い評価を得て、この翌年1871年に単独で絵本として発刊されています。写真は1875年頃の再版のものです。

 Diamonds and Toads 1875 (New York : McLoughlin Bros)


 “ MELCOMB MANOR A Family Chronicle ”(1875年)
 
 MELCOMB MANOR A Family Chronicle 00 Melcomb Manor 01
 (London. BelfastMarcus Ward & Co. Royal Ulster Works)

 「MELCOMB MANOR A Family Chronicle」はギフトブックとして非常に豪華な作りになっています。挿絵には金銀がふんだんに使われ、背景の金色の部分にはスクリプションが織り込まれています。

 Melcomb Manor 02 Melcomb Manor 03 

 「AUNT LOUISA'S NURSERY FAVOURITE 」の5年後の出版となるわけですが、この頃の絵には輪郭に柔らかさが出てきて、人物の所作にも優雅さが感じられるようになります。 

 Melcomb Manor 04 Melcomb Manor 05 Melcomb Manor 06

 僕の個人的な感想ですが「Under The Window」以後のグリーナウェイよりも「PUCK AND BLOSSOM」(Marcus Ward, London 1874)、同時期に出版された「CRUISE IN THE ACORN」(London: Marcus Ward ,1875)、「Fairy Gifts or a Wallet of Wonders」(Griffith and Farran, UK,1875)や、以前取り上げた「The Quiver of Love」(Marcus Ward, London,1876)などの頃の方が好きです。

 mother goose 1881 Mother Goose
  (London: George Routledge and Sons,1881)

 しかしながら、これらの絵を見ていると構図や人物の描き方などで、クレインが「私に似せた…」と揶揄したのも何となくわかる気がします。
 彼女は一時期、他者との差別化について悩み、絵が描けなくなったことがあります。そして、その結果、「Under The Window」に見られた画風をもっと極端に表現することを選択しました。それは当時において目新しさを提供しポピュラリティの獲得に大いに役立ちました。そして、今日においてもその人気は衰えず支持されているのも事実です。しかし、広まり過ぎたため食傷気味になる傾向があることもまた否めないと思います。

 もう少し体調が回復したら、その他のリクエストにも(全部は無理ですが一部でも)お応えできればと思っています。

 

スポンサーサイト

テーマ : ひとりごと…雑記…きままに
ジャンル : 日記

コメントの投稿

非公開コメント

sidetitleプロフィールsidetitle

otosimono

Author:otosimono
全く役に立たない独り言です。

sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitle最新トラックバックsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitleFC2カウンターsidetitle
sidetitleカレンダーsidetitle
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitleリンクsidetitle
sidetitleブロとも申請フォームsidetitle

この人とブロともになる

sidetitleQRコードsidetitle
QR