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レディ・ジェーン・グレイのこと

 ランカスター家の悲劇の女王、レディ・ジェーン・グレイ。
 以前に少し日記でとりあげたのですが「何か良い資料があれば教えてください」とのご質問を数人の方からいただきました。
 ブログ拍手のメッセージに対する返信のやりかたがわかりませんので、こちらで返事をさせていただきます。

 国内でジェーン・グレイを取り扱った書籍は非常に少ないです。恐らくもう皆さんがご存知の書籍になってしまいますが3冊ほど挙げておきます。

 次の2冊は現在、販売されており、「英国王室史話」については中央公論社から上下刊で文庫化もされています。ただし、いずれもごく短い章中での取り扱いになります。

 英国王室史話 「英国王室史話」(森 護、大修館書店、1986年)

 薔薇の王朝 「薔薇の王朝」(石井美樹子、NTT出版、1996年)

 こども向けではありますが「九日間の女王さま」は本文295頁に及ぶ物語になっています(表紙の絵はどことなくアラブ風で僕としてはあまり好きではないです)。著者のカーリン・ブラッドフォードは英国王室史などの研究家であり、レディ・ジェーンに関する論文も発表しています。ただし、こちらの本はあくまでも史実をもとにしたフィクションです。忠実な部分もありますが、物語としての起伏をつけるために作者がイメージで話を創作している部分もありますし、処刑のシーンはドラローシュが描いたシーンをそのまま言葉に載せ替えています。

 九日間の女王さま 「九日間の女王さま」
 (カーリン・ブラッドフォード著、石井美樹子訳、すぐ書房、1991年)

 資料というよりもエピソードになりますが、夏目漱石の「倫敦塔」の中にも取り上げられています。

 倫敦塔 「倫敦塔」(小型本、大正四年、東京堂、鈴木三重吉編)
 

 僕が利用(所持)している外国の古書文献は次の通りです。
 
 LADY JANE GRAY. Bound with: TAMERLANE; JANE SHORE; THE FAIR PENITENT(John Bell., London 1791)

 Lady Jane Grey, a tale, in two books; with miscellaneous poems, in English and Latin.(London: printed by T. Bensley, for J. Mackinlay, 1809)
 
 Lady Jane Grey, And Her Times(London: Printed For Sherwood, Neely, And Jones, 1822)

 The Literary Remains of Lady Jane Grey with a memoir of Her Life (Harding, Triphook, and Lepard 1825)

 PORTRAITS OF ILLUSTRIOUS PERSONAGES OF GREAT BRITAIN Engraved from Authentic Pictures in the Galleries of the Nobility and the Public Collections of the Country. With Biographical and Historical Memoirs of their Lives and Actions.Twelve Volumes(Printed for Harding and Lepard, London: 1835. by the Printed by Willian Nicol at Shakspear Press 1835)

 FINE PROOF ETCHING BY GEORGE CRUIKSHANK, WITH HIS PRESENTATION INSCRIPTION.( Most probably an illustration from W. H. Ainsworth's The Tower of London 1840)

 The Signing of the Death Warrant of Lady Jane Grey(Publisher:Unknown,1848)

 LADIES OF THE REFORMATION Memoirs of distinguished female characters, belonging to the period of The Reformation of the Sixteeneth Century (Blackie & Son: London, Glasgow, & Edinburgh, 1857 & 1858)

 Pictures and Royal Portraits illustrated of English and Scottish History, from the introduction of christianity to the present time( London Glasgow Edinburgh Dublin, Blackie & Son ca. 1880)

 History of Lady Jane Grey( Glen Falls Printing Co., Glen Falls, NY 1896)

 The Nine Days' Queen: Lady Jane Grey and Her Times (Methuen & Co., London 1909)

 各書籍の発刊年代をご覧いただければ推察できると思いますが、1833年にドラローシュが描いた「レディ・ジェーン・グレイの処刑」が一大ブームを巻き起こしたことは想像に難くありません。
 各々にジェーン・グレイの肖像銅版画や木版、エピソード、伝記などの資料が散らばっているような状態です。これといった決め手になるような研究書は今のところありません。どれも同じようなことを書いているのが実際です。
 それはレディ・ジェーン自身が(聡明ではありましたが)あまり社交的な性格ではなく、教会の奉仕活動以外ではどちらかと言えば家にいることの方が多かったため行動の記録が少ないこと、その肖像画が確認されていないということが挙げられます。
 彼女は当時としては世間的にも知られた才女でしたので日記などがある程度残っていても良いはずですが、それもほとんど確認されていません。ですから彼女の裁判記録以外では、他者の日記や献詩などの記述(当時のものはそれほど多くはありません)、口伝えでの人柄や思い出話が中心となります。伝聞によるものは後世の作り話的なものが多く含まれています。他には彼女の直筆と写しの書簡がわずかに残されているのみです(写しに関しては後年の偽作の可能性もあります)。他の王室関係者に比べて残されているものが多くないため、真贋の取捨選択が困難であることは事実です。
 肖像画については、イギリスのナショナル・ギャラリーに隣接する王室ポートレイト・ギャラリーにあった「レディ・グレイの肖像」とされていたもの(現在、書籍などに掲載されているのはほとんどこの絵です)は、近年の研究(贈られた宝石類の記録と肖像画が身に着けている装飾具)からどうやら「ジェーン・シーモア」であるらしいです(キャサリン・パーの可能性も主張されてはいますが)。各地にある他の肖像画もこの絵をもとに描かれていたり、ジェーンの死後に彼女の母フランシーズの若いころの肖像画を元にして描かれています。それ以外では、彼女の処刑から数十年後に遺族(遠い縁戚者)の証言をもとにモンタージュ的に復元されたものとか、画家が自分のイメージで描いたものが大多数です。ダドリー家(?)の家系末にあるどちらかの公爵が肖像画を保有しているらしいですが門外不出のため実際には確認されてはいません(見た人はいるようですが画像の公表はされていません)。
 なぜこういった状況になったのかと言うと、レディ・ジェーンはクーデター、反逆罪に問われ斬首されていますので、彼女の肖像画や日記など遺品を所持するということ自体が反逆とみなされる可能性があったことが18世紀19世紀の論文中に挙げられています(ただし、この時点では先の王室ポートレイト・ギャラリーの絵はジェーン・グレイだと思われていました)。特にダドリー家に対する諮問はかなり厳しいものであったようです。ジェーンの相手がダドリーでさえなければ助命嘆願が受け入れられた可能性は大きかったとも言われています。
 さらに、イギリス王室は(当時を含め近代まで)彼女を正式の女王とは認めてはいませんでした(現在は正式に認知されています)。ですから「女王の肖像画」として描かれる(保存される)ことはなかったのです。
 しかし彼女の悲劇的な物語は、後年、民間の人気となり多数の複製画が描かれ、一部富裕層の間で高値で取引されることになります。中には古い肖像画に後から「Lady Jane」とキャプションを描きこんでジェーン・グレイの肖像として転売されたものも数えきれません。そういったことから彼女は「見えない女王」になってしまっているのです。

 洋書の方はそのうち折を見て読み返しながら整理をし、重要な部分は翻訳を交えながらブログ上でご紹介したいとは思っています。いつになるかはわかりませんが…。

 ご質問の答えになっていませんがお許しを。体調が良くないのでここまでで申し訳ありません。

 


 
 
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