C.M.Barker - 20世紀初頭の挿絵 -

 Cicely Mary Barker (1895 - 1973)

 シシリーのプロフィールについては以前に仕掛け絵本のところで書いたので今回は「Flower Fairies of the Spring 」の初期の版と新版との違い、刊記とそれに合わせて別の2冊の本を取り上げたいと思います。

 c m barker 00

 “ Flower Fairies of the Spring ” (1924&1926年頃)

 Flower Fairies of the Spring 1924 (1924年頃)
 (Blackie & Son Ltd.London Glasgow Bombay )
 
 最初に刊記について触れたいと思います。
 「Flower Fairies of the Spring」の初版発行は1923年、新版(New Editin)の発行は1985年になります。この年には、Gale Cengage社からも同じ版で発行されています。
 上に写真を掲載したものにはダスト・ジャケットがありませんので、Publisherの表示から割り出すことになります。
 発行元のBlackie and Son社は非常に伝統のある出版社でして、なおかつ、発行年の記載がないものが多くなっています。その版の判断については表示のバリエイションが多いため複雑で、下に挙げた発行年とPublisherの表示も一例にすぎません。
 
 1900 Blackie & Son (and) Sherratt & Hughes., London& Manchester.
 1910 Blackie And Son Limited London, Glasgow & Bombay
     Blackie And Son Limited London Glasgow Bombay
  ・
  ・
 1924 Blackie And Son Limited London Glasgow Bombay/Printed and bound in Great Britain
 1925 Blackie & Son Ltd.London and Glasgow/Printed in great Britain
 1930 Blackie & Son Ltd., England
     Blackie & Son Ltd.London and Glasgow
 1940 Blackie and Son Ltd, London, United Kingdom,
 1954 Blackie & Sons Ltd., London,U.K.
  ・
  ・
 (1980 Frederick Warne &Co., Ltd,London)
 1985 Blackie & Sons Ltd., Glasgow, Scotland,
    (Gale Cengage,1985/5/30)
 1988 Blackie & Sons Ltd., Glasgow, Scotland,
    (Marks and Spencer Limited)
    (Penguin Books Ltd)
 1990 Frederick Warne Publishers Ltd
    Frederick Warne & Co Ltd, London (New York)

 表示は「 Blackie And Son Limited London Glasgow Bombay」となっており、使われていたのは1910年以後です。さらに印刷所の表示に「Printed and bound in Great Britain」とあります。これは1924年前後のBlackie社の書籍に印刷されています。1925年からは「Blackie & Son Ltd.London and Glasgow/Printed in great Britain」となりますから、この本が出版されたのは1924~1925年頃と思われます。
 補足しておきます。写真の本には緑色の背表紙テープが貼られていますがオリジナルにはありません。テープには「Flower Fairies of the Spring 」と金文字で打ってはありますが、これは補修した時に作られたものだと思います。

 spring 1926
 (Blackie & Son Ltd.London and Glasgow, 1926)

 ダスト・ジャケットが残っていればPublisherの表示と併せてもう少し詳しく調べることができます。ただし初期のものでダスト・ジャケットがあるものは稀です。また非常にレアなケースですが、書店側が高く売ろうとして後の版のものに破損したダスト・ジャケットを着せ替えている場合もありますので注意して内容を確認してください。

 spring eary edtion 00 spring 1926 back (1926年版) 
 
 扉のPublisherの表示は“Blackie & Son Ltd.London and Glasgow Printed in great Britain ”になっていますので1925年以降のものであるらしいことがわかります。
 次に、ダスト・ジャケットの裏面には出版リストが記載されています。1926年版の裏を見て各書籍の出版年と照らし合わせると「Gammon & Spinach」の刊行は1905年、「Mrs.Bunny's Refugee」が発刊されたのは1921年、「Flower Fairies of the Autumn」が1926年です。1927年の「The Book of the Flower Fairies」と「Autumn Songs with Music」が記載されていないのと、シシリーの本が「Flower Fairies of the Spring」から「Flower Fairies of the Autumn」までしか載っていません。大型本の記載が除外されていたと考えても、この本の発行は1926年頃でしょう。

 spring 1985 (Blackie & Sons Ltd., New Editoin,1985)

 次は初期の版と新版の相違点についてですが、もっとも大きな違いは掲載されている妖精が異なるところです。

 spring 1990 (Frederick Warne & Co Ltd, 1990)

 ダスト・ジャケットが「the Larch」から「The Crocus」になり、見返しの絵柄も変更されています。また挿絵の枚数も24枚から21枚になっています。Frederick Warne社版も内容的にはこの新版を踏襲しています。新版から漏れた絵柄は次の5点です。「The Snowdrop」「The Hazel-Catkin」「The Dead-Nattle」「The Groundsel」「The Shepherd's-Purse」です。初期の版には「The Crocus」が載っていません。

 spring eary edtion 02 spring eary edtion 03 spring eary edtion 04

 因みに「Flower Fairies」のシリーズはソング・ブックにもなっています。

 “ Spring Songs with Music ”( Blackie & Son Limited、1925年頃)

 springsong music00 springsong music01

 初版の発行は1923年で「Flower Fairies of the Spring 」とほぼ同時に発行されています。12の妖精の詩にオリーブ・リンネル(Olive Linnell)が曲をつけて、簡単なピアノ伴奏譜も添えてあります。

 springsong music02 springsong music03 springsong music04 springsong music05
 
 ただこちらの曲ですが、あまり面白味のないメロディです。そのせいかもしれませんが「Flower Fairy」の詩集と比べると以後の増刷は少なくなっています。

 “ A Little Book of Old Rhymes ” (1936年頃)

 oldrhymes00 oldrhymes01 back  oldrhymes01 oldrhymes02 

 この本の初版発行は1936年です。Publisherの記載は“ Blackie & Son Ltd.London and Glasgow ”ですから1930年以降であることがわかります。更に特定するためにダスト・ジャケット裏面のリストを見てみます。
 「A Flower Fairy Alphabet」が発刊されているのは 1934年です。更に、1937年に発行された「A Little Book of Rhymes New and Old」の記載がないことから、 恐らくこの本の発行年は1936年ということになります。初版か否かは判別できませんが初期のエディションであることは推測できます。

 “ The Lord of the Rushie River ”(1947年頃)

 rushie 00

 初版が発行されたのは1934年です。Publisherは前掲書と同様に“ Blackie & Son Ltd.London and Glasgow ”のみですから1930年代の発行だと思われます。これも裏面の出版リストから絞り込むことになります。
 「A Little Book of Rhymes New and Old」(1937年)の記載があり、かつ、1946年に発行された「Groundsel and Necklaces」が載っています。しかし、1948年発行の「Flower Fairies of the Wayside」、1950年の「Flower Fairies of the Flowers and Trees」が記載されていません。従ってこの本が発行されたのは1946~1948年の間と言うことになり、出版のサイクルから見ると1947年であろうと思います。

 rushie 01 rushie 02 rushie 03

 この本は児童文学者であるシシリーが書き下ろした童話です。
 「船乗りの父親が長い航海に出ている間、ひとり娘のスーザンは家に残されることになりました。父親が頼んだ世話をしてくれるはずの家政婦からひどい目にあわされた彼女は家から逃げ出します。放浪の身となった彼女を救って面倒をみてくれたのは、かつて父親が助けた白鳥でした。スーザンは白鳥たちと幸せな毎日を過ごしますが、いよいよ父親が返ってくるという日が近くなったというのに、彼女の服はボロボロになっていて着てゆく服がありません。途方にくれる彼女のために白鳥はある計画を立てて飛び立ちます…」と言うストーリーで、「白鳥とくらした子」と言うタイトルで翻訳版も出ています(八木田宜子 翻訳、徳間書店、2002年)。

 c m barker 01

 今回、どんな内容にしようかと思ってぶらぶらとネットを検索していたら、ネット・オークションや一部の古書サイトで刊記が間違っているのではないかと思われるものがわずかながら目につきましたので話題にしてみました。しかし、いつにも増してつまらない話になってしまいましたね。申し訳ありません。


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