「世界の子供たちのために」~別府葉子シャンソン・コンサートから~

 別府葉子TY2016b

 別府葉子さんがコンサートで取り上げる曲は非常に興味深いものがあります。
 今日は、ルーテル・市ヶ谷ホールで開かれたコンサートの曲目の中から、一曲だけ紹介させていただきます。
 「世界の子供たちのために(Pour les enfants du monde entier)」です。

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 1987年、フランスのシャンソン歌手イヴ・デュテイユはイラン・イラク戦争に徴兵されてゆく子供たちの姿に打ちのめされ、その言い知れぬ絶望からひとつの歌を作り出しました。

 この歌は周囲を圧倒するようなものではありません。
 切々と語り掛けるように訴えてくる反戦歌です。

 爆弾を抱え人込みに放り出されて、兵器にされる子供たちがいます。
 彼らが戻ってくることはありません。
 遠隔操作で押されたスイッチが、周囲とともに子供たちの命を奪うのです。

 小さな腕に銃を抱えて、希望のない瞳を空に向ける子供たちがいます。

 「私が一番最初に殺したのは、大好きなお母さんでした」と無表情に語る子供がいます。

 小説の中の話ではありません。現実におこっていることなのです。
 
 子供であることが周囲に安心感を与え、それを利用して彼ら自身が武器に仕立てられます。
 そうして奪われた命は、最後にどういう叫びをあげるのでしょうか。
 そうやって死んでいった命は、果たしてもう一度、人間に生まれ変わりたいと願えるのでしょうか。

 出口のない絶望だけを抱えた子供たちは確かに存在しています。
 僕たちの目が向くことはなくても、ビールジョッキを片手で口に運んでいる時にも、世界のあらゆる場所で子供たちの絶望は続いています。

 この日、別府さんが「世界の子供たちのために」を歌うことを知っていたら、もっと多くの人に声をかけていたのに。
 曲目を見た時、後悔しました。

 終演後、いつものように別府さんが見送りに出てらしていたのですが、申し訳なくて会釈するのが精一杯でした。
 こうして書いてはいても、ゲーム終了後のゲーム解説のようなお粗末さを痛感します。
 ですから、ご存じない方は、ぜひ一度、お聴きになってみてください。
 今だからこそ意味のある歌だと思います。


 子供たちに 「子供たちに」(2003年・キングレコード)


 「世界の子供たちのために」 イヴ・デュテイユ


 もうなにも希望を持てない世界中の子どもたちのために
 この地球のすべての支配者に向かって、私は祈りを伝えたいのです

 姿を消す子どもがでるたびに全世界が希望に線を引いて消しているようです
 未来が私たちのものになるという希望を線で消すようなものです

 唇に微笑みをたたえて心安らかに子どもたちが去るのを私は見ました
 子どもたちの行き先は死なのでしょうか、それとも大人たちが約束した天国なのでしょうか

 だけど、子どもたちが地雷の爆発で吹き飛ばされた時、殺されたのはモーツァルトでした
 もし幸福のためにこれだけの代償を払うのなら、幸福とはどんな地獄からその糧を得たのでしょうか

 そしてどれだけの沈黙と暗闇を代償として払わなければならないのでしょうか
 子どもたちの話の思い出を記憶から消すための代償として

 どんな遺言が、どんな福音書が、ものの見えない愚かなどんな手が
 この無垢な存在に、これほどの涙と苦しみを強制できるのでしょうか

 恐怖、憎しみ、暴力が子どもたちの命に火を放ちました
 子どもたちの道は棘と貧困と鉄条網でおおわれています

 自分の心臓の鼓動を聞くように独裁者に説くことはできるのでしょうか?
 大統領もときどきは泣くことがあると思ってもいいのでしょうか?

 泣く以外に声を出せない世界中の子どもたちのために
 この地球のすべての支配者に向かって、私は祈りを伝えたいのです

 あなたたちが目を開いたまま睡眠薬で眠っている間
 ほんの一瞬でいいから、あなたたちの童心の魔術を広げてください

 サンタクロースやクリスマスを理由にして世界では少しの間の休戦が可能なのだから
 その休戦の期間を永遠に続けられればいいだけなのに

 その休戦が永久に恨みを消し去って、心の底の復讐心と残虐さを鎮めればいいのに
 ずっと、永久に

 私には少しの権力もありません
 だけど今日、私の心は希望に満ちあふれ、命への賛歌でいっぱいです

 ゲットーから、スラム街から今世紀の流謫の心から、ほとんどあらゆる場所から声が上がり、人々を立ち上がらせ、歌わせます

 国境を閉鎖したとしても、港や川を通行禁止にしたとしても閉じられた心の中で密かに歌は徒歩で伝わっていきます

 母親たちが子どもたちに歌を教えて、子どもたちがそれを歌って、歌は自由の空の下で、ついに爆発的に広がります

 世界中の子どもたちのために

 世界中の子どもたちのために



 別府葉子TY2016a



 今が、戦前にならないように。
 子供たちの未来が永遠に戦後でありますように。
 そう願っているのが少数派でないことを、僕は信じています。

 

 


 
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