装飾的奇想絵画~駕籠真太郎~

 kago010137.jpg 「金魚」(ペン、水彩)
 
 僕が駕籠真太郎作品を初めて目にしたのは、太田出版から「喜劇駅前虐殺」というコミックが刊行された翌年、つまり2000年のことになります。
 それは書店ではなく、得体のしれない缶詰とか、キモカワ系のマスコットとかを扱っていたキワものバラエティグッズのお店でした。

 kago0392.jpg 「喜劇駅前虐殺」

 きっちりとシールパックされたその本の表紙を見て何を思ったのか、どう感じて意思決定をしたのか不明です。気が付いたらレジ前に立って会計をしていたというところでしょうか。そんな不可解な購入動機が相応しいとも言える駕籠真太郎作品との出会いでした。
 会計後、近くにあったフードコートでアイス・キャラメル・オ・レを飲みながらページを開いた途端、さっと辺りを覗い「覗き込まれでもしたらマズイ」とさりげなく表紙を閉じて、「家で読もう・・・」となったのを鮮明に覚えています。
 この系統の漫画は丸尾末広、伊藤潤二、花輪和一などの名前が挙がります。
 早見純もいますが、彼の作品は猟奇的ではありながらもっと抒情的ですね。
 駕籠作品も同じジャンルに属してはいますが、いずれとも異なる世界を築いていましたね。先ずストーリーを要約出来ない、というか、するのが無意味という作品でした。
 内向的な嗜虐性を煽ると言うのか、実際には行動に及べない暴虐的感情を眠っている世界で実現するような感覚がありましたね。夢のなかでひたすら暴れて、目覚めた時に動悸が残るほどの感じです。
 その混沌は丸尾作品にある大正時代的なものではなく、第二次大戦末期からの昭和にあったような気がします。
 戦時狂気のPTSDを負った人物が高度成長を遂げた社会の亡霊として隣にいる。そして、それは実際には戦争体験のない子や孫にまで記憶の遺伝子として引き継がれ暴力的な不条理のキャリアーとなっている愚かしさと怖さがありました。
 以後も僕は駕籠作品を読み続けました。「パラノイア・ストリート」「奇人画報」「万事快調」「殺殺草紙」などから最新刊「恋の超時空砲」まで。

 kago0388.jpg kago0387.jpg 「鯛」「ヨーヨー釣り」

 いつ頃から駕籠真太郎さんがタブローのイラストを主体とした個展を開いていたのかはわかりませんが、ギャラリーの方によれば4~5年前から特に精力的に取り組みはじめたようです。
 僕がその活動を知ったのは全くの偶然で、アポ時間待ちでぶらついていて、通りがかりのギャラリーの扉を押した時のことでした。
 展覧会のタイトルは忘れました。
 駕籠さんのほかにも数人が出展していました。写真や造形作品も混ざっていた気がします。
 入ってすぐ右側の壁に、頭がパーティークラッカーのように爆発している女の子の絵が目に入りました。「駕籠真太郎式美少女絵」の表紙作品だったと思います。その女の子の幸せそうな笑顔が印象的でした。
 この時に初めて僕は駕籠さんがタブローを手掛けていることを知ったのです。

 kago000001.jpg 画集「駕籠真太郎式美少女絵」

 以後、僕は駕籠さんのタブローに嵌まり込んでしまいました。
 漫画ではない、単独のイラストが表現する世界にストーリー作品以上に惹かれたと言っても過言ではありません。
 何よりも女の子たちに暗い表情が少ない。と言うよりも底抜けに明るいと言ったほうが良いでしょう。その明るさは救いでもあると思えるのです。明るさがエログロさから作品を遠ざけている。多少の違和感があるものの、それらは可愛い女の子のポートレイトなのです。

 kago0138a.jpg kago0138.jpg kago0139.jpg kago0140.jpg 

 1)「お医者さんごっこもリアリティを追求しなくちゃ」
 2)「キャンディ」
 3)「楽しいパーティー」
 4)「水泡」
 (いずれもペン、水彩)

 最近の駕籠作品は初期のタブローに比べ色彩について敏感になってきたと思います。それは北斎のようにダイナミックで、雪岱のように繊細な表現を伝えてきます。
 そして一枚の絵に小説的な背景を持たせる試みをしている作品もあります。
 仲の良い姉妹がある日、飲酒運転の車に轢かれて無残な姿になります。それを医者が接合し、一人の姿かたちを作ることに成功すると言う「三姉妹」は続きを見たくなる作品です。
 これは単独作品だからこその魅力で、リドル・ストーリーのように観る側に想像をさせるのです。
 弁士がいた頃の活動写真のように文字を仲介として場面を抜き出し、連作にすることには向いているとは思います。

 kago0136.jpg 「三姉妹」(ペン、水彩)

 先日まで中野で開催されていた個展では「夏祭り」がテーマだっただけに、その色彩は更に艶やかさを増しています。

 kago0385.jpg kago0386.jpg 「三人娘」(ペン、水彩)

 グロテスクな表情と共存する繊細な色彩を多くの人に見ていただきたいと思います。
 日常はグロテスクなもので溢れ返っています。それを取り出して僕たちに美しさを見せてくれるのが、駕籠真太郎という人の作品だと思うのです。

 kago0390.jpg kago0384.jpg 「恋の超時空砲」  

 「恋の超時空砲」のカバー、表紙と表紙原画です。表紙の絵はペンのみで書かれたモノクロ作品です。

 kago10385.jpg

 「恋の超時空砲」収録の「白い糸」の扉と原画(ペン)。
 ピアスの穴を空ける時に白い糸が出てきて、それを切ると失明すると言う都市伝説が10年ほど前にありました。それをパロディ化した作品です。

 kago000003.jpg kago000002.jpg

 8月30日に東京ビッグサイトで開催されるコミティアにも駕籠真太郎さんはブースを出されています。スペースナンバーは「ほ16b」です。お時間がありましたら立ち寄ってみてください。
 コミティアの熱気には、コミケとはまた違ったものがあります。それを感じるのも楽しいですよ。

 kago103851.jpg kago0389.jpg 「温泉」


 

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