桐の花

 ご機嫌いかがですか。
 台風が沖縄に接近し、天候は西から次第に崩れてくるようですね。
 初夏の台風は予想外の被害をもたらすことがあります。十分に注意しないといけません。
 昨年も今時分に台風が発生しましたが、あの時は上陸しませんでした。

 去年の今頃と言えば、部屋の改装を始めてちょうど一年がたったのですが、まだ完成していないんです。
 階段や廊下も含めて家中、本やCDを詰めたダンボールだらけです。
 書斎はすでに倉庫と化して出入りするためには箱をどかして道を作らなければなりません。
 まるでパズルゲームのようです。
 読みたい本を探し出すことすら困難を極めています。
 木下夕爾の詩集をご紹介したいのですが、どこにあるのやら…。
 せめて箱に表書きをしておくんだったなとひたすら後悔しても後の祭りです。
 次回はこの反省を含めてもう少し手際よくやりたいと思います。

 そういえば君は夜眠る時に電気をどうしていますか。
 小さな予備灯にしていますか、それとも完全に消灯しているのでしょうか。
 僕は以前は真っ暗にしないと眠れなかったのですが、ここ最近は暗くすると眠れないのです。
 かといって電気を煌煌とつけたままでは眠れるわけがありません。
 ですから夜が明けるまで待つことにしたのです。
 窓の外が白み始める頃、ようやく短時間の睡眠をとります。
 そう、ちょうど今がその時間ですね。
 午前4時から5時くらいの間。
 2時間ほどで起きなくてはならないのですが、それはそれほど苦にはなりません。
 ちょっと空いた時間があればデスクで片肘をついて目を閉じて休んでいますから。
 もとより睡眠障害になってからは体内時間が滅茶苦茶で、眠いという感覚がなくなってしまいました。
 ただ困るのは、度々、頭痛に悩まされることです。
 鎮痛剤なんて何錠飲んでも気休め程度で、蟀谷を強く抑えて痛みが通り過ぎるまで待つだけです。
 頭痛があまりひどくなると風景が白黒に見えるんですよ。
 時折、銀箔を散らしたような雪が見えたりもします。
 まるで古い映画のようです。
 僕のそれはノイズでしかありませんが。
 
 五月も半ばを迎え、進学や進級、就職や配置換えなど忙しい時期もやや過ぎて君の周囲も落ち着いてくるころでしょうか。
 何か特別なイベント的なことはありますか?
 僕の方は仕事上でのイベントは相も変わらず発生し続けています。
 歓迎できないものも含めて。
 とりあえず来週には関西への出張があります。
 出張といっても24時間以内に帰ってこなくてはなりません。翌日にはこちらで重要な打ち合わせがあるので。
 深夜に車を飛ばして、午後の仕事を終えたら真っ直ぐに帰ってくることになりそうです。
 まあ、いつも通りといえば、そうですね。
 岩手や岡山でない分、今回は少し楽です。

 もう少しゆっくりとやっていきたいですね、何事も。
 歩く速度も落とし気味にして。

 昨日のことになりますが、長いだらだら坂を歩いている時に下校する小学生たちと重なりました。
 彼等は元気ですね。
 求愛する蝶のようにくるくるとじゃれ合いながら、ツバメの輪のように風を切り、手をつなぎ、笑い合って駆け上って行きます。
 それに比べて僕はどうでしょう。
 舌打ちをし、自分の体の重さを呪いながら、忌々しい気持ちを抱え息を切らして足を前に出します。
 果たしてこれは進んでいるのだろうかと。
 汗をハンカチで拭き取った時に、ふと、遠い昔、坂の上の方から誰かに呼び止められたことを思い出しました。
 名前を呼ばれたのか、単に声をかけられたのか、はっきりはしないのだけれども。
 確か、他の誰かを待っているときだった気がします。
 大きな桐の木がある坂道でした。
 僕の通学路にはそんな木はなかったので、余所の坂だと思います。
 薄紫の花がぽとぽとと落ち続けていたので、同じくらいか、もう少し後の季節だったのでしょう。
 僕を呼んだのが誰だったのか、僕は誰を待っていたのか、思い出す仕種も無駄なほどに忘れてしまいました。
 実際にはそんな記憶さえも本当は僕に起こったことではなく、テレビか映画のなかでの出来事だったのかもしれません。
 幾つもの断片を繋ぎ合わせて、自分の想い出にしてしまっているのかも。
 それも充分にありえますから。

 花桐や手提を鳴らし少女過ぐ

 これは、角川書店の創立者であった角川源義の句です。
 桐の花が降り注ぐ道で、手提げカバンを持った少女がそこから何かを取り出したのでしょうか。
 パチンと留め金を閉める音が清新に響き、その音に注意を惹かれます。
 その音が、桐の花咲く初夏の様子と急ぎ足で過ぎて行く少女の溌剌さを伝えてきます。
 もしかしたら僕はこの風景を知っているのかもしれません。
 見たことがなかったとしても、知っている。
 そんな気がします。
 君にもきっと似たような体験はあるでしょう?
 時と場所が違っても。

 桐の花の写真を添えられれば良かったのですが、生憎と手元にありません。
 いつか、写真に収めることができたら、君に送ろうと思います。
 君が忘れてしまった頃に。

 それでは、また。


 
 
 
 

 
 

 

 
 
 

 
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