今日も好い天気でしたね。
明日からGWですが君は何処かに出かける予定はあるのでしょうか。
ゆっくりと休日を楽しむというのにはこの時期は不向きかもしれませんが、日頃の疲れを少しは紛らわせるといいですね。
昨日、仕事を一区切り終えたので遠回りをして土手沿いを歩いてみました。
日は西に落ちかけ暑さも和らぎ、風は少しだけ春の名残を含ませるかのように肌に冷たく感じられました。
とぼとぼと自分の影を見ながら、ここ数日の出来事を思い浮かべて。
何の解決にもならなければ、自分を慰める事さえできないのだけれど、いろいろなことが雑多に胸の内に浮かび上がり、靴に弾かれた小石のように川のなかに沈んでゆきました。
川は夕陽を照り返すことなく黒く流れ、そう見えるのは僕自身の負い目がそうさせたのでしょうか。
今日が終わることに対する当たり所のない苛立ちと言葉にならない感情を抱え、通り道に生えていた背丈ほどの草を引き抜きました。
僕のなかにある不可解な悔しさはその行き場を知らず、手に触れたものを傷つける事しかしないのです。
手には草の匂いが滲み付き、それはマクベスの妻のように夜毎に浮かび上がる悪夢となるかもしれません。
ところで君はずっと前に「サンタクロースなんて信じないけど神様はいるのかな。どう思う?」って言ってましたね。
その質問は今でも心のどこかにありますか。
僕は常日頃から信仰心を持ち合わせているわけではないし、否定するための回答を理論的に引き出すこともできませんが、すべての願いを諦めようとしたあとに、それでもたった一つだけ願うことが残されているのなら、神様は存在するのだと思います。
今になって僕がそんなことを思っているなんて君は呆れて笑い出すかも知れないですね。
早いもので4月も終ります。
ついこの間までと思っていた君の衿元に巻かれていたマフラーは、既に遠い昔話のように今はひっそりとクロークの中で次をまっているのでしょう。
帰り道、気の早い小さな薔薇の花を見つけました。
「薔薇の花が一番きれいに咲くころ、雨の日が多くなるのが残念。」
君は毎年、薔薇の花を見るたびに口ぐせのように言いましたね。
まだ時折肌寒さを感じさせる夜も、やがて湿り気を帯びた熱にうかされた体を寄せてくるでしょう。
僕が何もしなくとも、間もなく虫の音に混ざって去りし日の戯れと過ちの声が聞こえる夏が来ます。
そして今夜僕は、その夏を迎えることができるだろうか、なんてことを漠然と考えているのです。
こんなことを言い出すのはおかしいかもしれませんが、もし3カ月以上僕からの便りが無かったら既に存在していないと考えてください。
これは君に心配させるために言っているのではなく、自然に終りを告げるためのピリオドだと思ってくれればよいです。
佐藤志満の句をふたつ。
嘗てわが苦しみ飼ひし雛のこゑ幻聴として今夜きこゆる
おほよそに現に遠きよろこびとおもひてさめしあかつきの夢
いずれも昭和30年に発行された「草の上」という歌集に収録されています。
それでは、また。
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