横田沙夜「さよくろ」展
3月15日から今週の土曜日の21日まで、銀座にある奥野ビル「銀座ワン」で、横田沙夜さんのモノクロイラスト作品展が開催されています。
通常、横田さんは水彩が主で、下描きとしてペン描きやドローイングはしますがまとまった作品として発表したことはないそうで今回が初ということになります。
横田さんの作品の話をする前に会場である「銀座ワン」が入っている奥野ビルについて少し説明しておきます。
奥野ビルの本館の竣工は1932年、次いで新館が1934年に建てられ、その2棟が左右対称になるように並んで建てられています。
外観も趣のある建物ですが、中に入ると銀座最古の手動式エレベーターが現役で動いていることに驚かされます。
しかもこのエレベーターはただ古いだけではありません。民間用住居ビルに備えられた日本最初のエレベーターなのです。つまりエレベーターを備えた日本最古のアパートメントということです。
その他、手すりや窓枠、非常階段のどれをとってもノスタルジックでちょっとしたタイムスリップ感を得られます。
設計者は同潤会の建築部長を務めた川元良一と聞くと、さもありなんと思わせるたたずまいです。
かつての入居者には西條八十がいました。現在は個性的な小さなギャラリーがあつまったアートスペースになっています。
銀座へでかけたのなら建物だけでも必見の価値があります。
その奥野ビルの2階奥が会場となっている「銀座ワン」です。
横田さんの作品ですが水彩作品と異なり、人物や場面、テーマといった細かな設定は今回はありません。
すべてがインスピレーション。
作品には推敲にありがちな緊張感がなく、非常に気楽で、描く方も観る側もかしこまらずに楽しめます。
かといって「ゆるキャラ」的なものでもないところが横田さんらしいかもしれません。
モノクロというのは単純に白黒で描かれたというだけではなく、色を制限することで観る側にそれらを想像させる効果があります。
また色彩を否定することによってそのエッセンスだけを伝えるという重要な要素も備えているのです。
それだけに難しい面もあるんですよね、白黒というのは。
モノクロ写真がカラー写真よりも色彩的に表現が細やかで深みがあるというのと似ていますね。
そこに共通しているのは鑑賞する側の観察力と想像力です。
色彩が制限された世界にどんな個別のストーリーをつくりあげることができるかということです。
横田沙夜さん
僕は自分がそこになにを見ることが出来るのか、どんな話をつくることができるのか、それを基準にして譲っていただく作品を決めます。
今回は、ソーダ水とうさぎです。
会場に行かれましたなら、ぜひともその世界を覗いてみてください。思いがけないものがみつかるかもしれませんよ。
≪さよくろ展≫
会 期 2015年3月15日(日)~21日(土)
場 所 アートスペース銀座ワン
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル2F 202号
問い合わせ先 090-8492-0332 (藤井)
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テーマ : ひとりごと…雑記…きままに
ジャンル : 日記