味戸ケイコ個展「五月のスカート」

 北青山にあるギャラリーハウス・マヤにて味戸ケイコさんの個展が開催されています。
 「五月のスカート」と題されたこの個展は詩人である平岡淳子さんとのコラボレーションによっていて、味戸さんが描かれた作品に寄り添うように平岡さんの短かい詩が掲げられています。

 たとえば下にご紹介した作品には「スカートの裾がわらうように揺れ わたしの悲しみを隠してくれる」という詩が付されています。
 
 keikoajito-269x300.jpg

 僕が会場を一覧して先ず不思議に思ったのは、その詩と絵の微妙なすれ違いでした。
 詩が作品を解説するわけでもなく、また逆でもない。それぞれが空間に浮遊している印象を受けたのです。わかりにくい表現で申し訳ありません。もう少し言葉を足すと、絵を見て詩を思い返してそこへ戻るような、或いは詩から受けた感覚によって自分で絵を探すような感じです。
 幸いにも、今日、5月12日が個展の初日にあたっており、丁度、味戸さんと平岡さんのお二方も在廊していらっしゃいました。そこで短い時間でしたがお話する機会を頂いて、失礼にも僕はおふた方にその感じたままを質問させていただきました。
 そうしましたらこの個展にあたってはおふた方による打ち合わせといったものはなく、個々に作品をつくって持ち寄り、会場の飾りつけの際にそのイメージに合わせて寄り添わせるように展示されたとのことでした。
 平岡さん曰く「明日には別の絵のところに詩が移動しているかもしれませんよ」と。
 つまり個々の詩と絵とはもとより関連付けられたものはないのです。見る側が自由に詩と絵の間をたゆたうような空間をおつくりになられていたわけです。
 
 ajito01.jpg

 本来、芸術作品にはタイトルや解題といったものは必要ないのでしょう。
 見る側が自由に解釈し、そこから生じた「思い」によってタイトルをつけてゆく。そして、それが作者の意図に合致するなら何にも増して恵まれた幸運であると言えます。
 詩を詩として鑑賞し、絵を絵として鑑賞する。そして、そこから受けた印象を自分で作品同士を結び付けて行くという楽しさがこの個展にはあります。

 芸術はタイトルや注解がなければ鑑賞できないと思われがちですが、思いのままに感じ取るということが本来は基本であるはずなのです。
 僕たちは難しく考えることに慣らされてしまい、そして、純粋にありのままの感覚に触れるという素直さを忘れているのです。
 「感動」と「有り難味」というものを混同してしまっているとも言えます。
 感動というのは解題を施された知識に決定づけられるものでも、対価的な希少性といったものでもないのです。心を動かされたと言う単純な事実のなかに存在するのです。

 ajito02.jpg

 この「五月のスカート」は5月24日(土)まで開かれています。展覧は無料ですので足を運ばれてみてください。

 
 《味戸ケイコ個展「五月のスカート」》

 会 期 5月12日~24日(土)
 Open  11:30~19:00 (最終日は17:00まで)
 会 場 ギャラリーハウス・マヤ
     東京都港区北青山2-10-26
     TEL 03-3402-9849
 東京メトロ・外苑前駅下車。3番出口を右へ、信号を渡り城南信用金庫の前をぬけて酒屋の手前の通りを左折して直進。


 gaien01.jpg おまけ(外苑前の交差点でみつけました)



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No title

とても共感できます。
岡本太郎展が都内であったとき妻と行きました。
みんなサクサク観て進んで行くのが不思議でした。
ぼくは、すべての作品ではないけれど、大半の作品の前に立つと
「なんだこれは!?」という驚きと喜びで
脚が金縛りのように止まってしまっていたからです。
きっとそれは、知識ではなく、感覚で観たからなのでしょうか。

ヴァイオリン弾きの像、いいですね( ^ ^ )

偕誠 様

ご訪問ありがとうございます。
震災直後に開催されていた東京都現代美術館で開かれた「岡本太郎展」は圧巻でしたね。
あの作品にこめられたエネルギーは勇気を与えてくれました。
見る側を作品世界に感情移入させ、芸術家の魂や矜持を感じ取らせることが作品の使命であるはずです。
ですから、先入観を取り払って身近に感じることは何よりも大切なのだと信じます。
作品の前で立ち尽くすことや行きつ戻りつすること、分らないものを素直に分らないと言うことは恥ずかしいことではないのです。寧ろガイドブックを片手に作品よりも文字に捕らわれて通り過ぎることをもっと惜しむべきなのです。

>岡本太郎展が都内であったとき妻と行きました。

ご夫婦で美術展に足を運ばれるなんて良いですね。
共通の話題が生まれる時間を得られるというのはかけがえのない大切なものだと思います。羨ましいです。
僕にもそういう時間を作ることができば、と。
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