ほおずき、蚊帳、花氷

 「桜の木の下には死体が埋まっている」とは梶井基次郎の小説。
 こう暑いと、葉を茂らせる桜の下で涼んでいるうちに行き倒れになりそうです。みなさん、水分と塩分は充分に取りましょう。脳の水分が不足すると非常に危険です。まあ、水分が不足しなくても危険な人は多そうですけどね、別の意味で。
 この夏はクーラーの使用を限界まで我慢する気で頑張ってはいますが、どこまでもつかは自信がありません。
 ところで、関東地方の梅雨が明けた先週9日の土曜日、台東区浅草寺のほおずき市に足を運びました。
 水をかけられて緑を濃くした葉、艶を増すほおずきを眺め、涼を打つ風鈴の音を楽しんできました。しかし、それらの涼を感じさせる風物が意味をなさないほどの暑さ。救われたのは人出があまり多くなかったことでしょう。仲見世は相応の混雑をみせていましたが、例年のように歩けない、進まないというようなことはありませんでした。
 今年は節電対策で夜間の市は自粛し、やや趣の失われたほうずき市ではありました。それを知らず夜に参詣する人も多かったのではないかと思います。
 ほおずき市と言えば、アセチレンランプに照らされて橙に映えるほおずきや一列に吊り下がっている風鈴の絵模様、露を含んだ釣り忍、海ほおずき、それから水の中で浮き沈みする色とりどりのスーパーボール、金魚すくい、綿菓子、あんず飴などの屋台の毳々しい色を照らし出す光の眩しさ。やはり夜の市の印象が強く残っています。
 アセチレンも焚かなくなり電球に代わってもう随分と経ちます。海ほうずきもすっかり見かけなくなりましたね。
 ほおずき市に限らず、縁日など夜の祭屋台のどこか異世界めいた不思議な明るさは、懐かしさと憧れと、ときめきに似た不安を投げかけてきます。
 この日、帰りがけにほおずきを一鉢買い求めました。

 夏と言えば、かつてはどこの家庭でも蚊帳というものがありました。薄い紗幕の正方形のテント状の蚊避けです。子供のころはその綱を張るのが好きで、隠れ家のような楽しさがありました。
 蚊帳の中で姉と巫山戯ていて破ったことも何度かあります。えらい怒られましたね。うちはそのころお世辞にも豊かとは言えなかったので蚊帳ひと張りにしても貴重でした。破れたところを母が縫い合わせていたのを思い出します。その蚊帳も昭和40年代半ばくらいまででしょうか?それ以後は見かけなくなりました。今でも売っているのかな?あればひと張り手に入れたいものです。
 かつての夏の風物で見かけなくなったものは他にもありますね。「花氷」と言うのをご存知ですか?
 大きなスーパーやデパートなどに行きますと天井に扇風機が取りつけらていて、その下に必ずと言って良いほど巨大な氷の塊が置いてありました。その氷の中には、様々な花や花びらが閉じ込められていて、思わず足を止めて見とれるほどでした。
 その花氷もクーラーの普及と共に姿を消し、今では婚礼の席か、高級料亭にでも行かなければ目にする機会もなくなりましたね。
 桶から手で掬って水を撒く打水の光景もあまり見かけなくなったようです。今では如露やホースで撒くことの方が多いのでしょう。ホースなどで散水するのは打水ではなくて「水撒き」と言います。手で掬うから「打つ」と言うのです。
 でも、ホースでの水撒きもあれはあれで楽しめます。先端をすぼめて霧状にして撒くときにできる小さな虹を見つけるのも面白いものです。撒き手も、もっと上手く虹を作ろうとか思ったりして。
 
 僕の知らないもので実用性の喪失と共に失われた風物も多いことでしょう。知らないことが多すぎますね、きっと。こんな時代だからこそ見直されるべきものもあると思うのに。
 便利さに慣れるというのは不便なことです。応用が利かないと言うか、耐える術が身につかないと言うのか、一面では不幸なことでもあります。恩恵は恩恵として受けるにしても、過度に頼らないようにしたいものです。

 

 
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