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「イヴの時間」

 未来、たぶん日本。“ロボット” が実用化されて久しく、“人間型ロボット”(アンドロイド)が実用化されて間もない時代。 (「イヴの時間」より)

 イブの時間・劇場版 「劇場版」(角川映画、2010年)

 … I have a dream that one day this nation will rise up and live out the true meaning of its creed: "We hold these truths to be self-evident: that all men are created equal." …

 …私には夢がある、「我々すべての人間は平等に作られていると言う不変の真理」を貫き、いつの日にかこの国が立ち上がり、我々のこの信条を本当の意味で実現させるという。…

 1963年8月28日の「ワシントン大行進」でのマーチン・ルーサー・キング・ジュニアの有名な演説の一節です。
 YouTubeでもVTRが流れていますので実際の映像を見ることが出来ます。
 もう少しこの演説を、と言うか、この“I have adream”の前段の言葉を振り返ってみます。

 … We must forever conduct our struggle on the high plane of dignity and discipline.
 We must not allow our creative protest to degenerate into physical violence.
 Again and again, we must rise to the majestic heights of meeting physical force with soul force.
 The marvelous new militancy which has engulfed the Negro community must not lead us to a distrust of all white people, for many of our white brothers, as evidenced by their presence here today, have come to realize that their destiny is tied up with our destiny.
 And they have come to realize that their freedom is inextricably bound to our freedom.
 We cannot walk alone. …

 …我々は、絶えず尊厳と規律の高い次元での闘争を展開していかなければならない。
 我々の創造的な抗議を、肉体的暴力へ堕落させてはならない。
 我々は、肉体的な力に魂の力で対抗するという荘厳な高みに、何度も繰り返し上がらなければならない。
 信じがたい新たな闘志が黒人社会全体を包み込んでいるが、それがすべての白人に対する不信につながることがあってはならない。我々の白人の兄弟の多くは、今日彼らがここにいることからも証明されるように、彼らの運命が我々の運命と結び付いていることを認識するようになったからである。
 また、彼らの自由が我々の自由と分かち難く結びついていることを認識するようになったからである。
 我々は、たった一人で歩くことはできない。…

 イブの時間・オリジナル 「オリジナル版」(DIRECTIONS/RIGHTS、2011年)

 「アニメの話じゃないの?」と思われた方、そう、アニメの話です。
 ただこの演説が「イブの時間」を貫いているテーマを的確に示しているのではないかと思い取り上げました。
 このことは、このルーサー・キングの“ I have a dream ”と言うワンフレーズが「イヴの時間」のエンディング・テーマのタイトルになっていることからも伝わるのではないかと思います。

 曲を手がけたのは梶浦由紀です。歌っているのはKalafina。
 震災直後にNHKホールで開催されたコンサートのアンコールでも歌われました。僕は直に耳にしたその時の記憶が今もって強く印象にあります。

 「我々は独りで歩くことはできない。」

 僕の自由は僕のみで成立しているわけではないのです。他の人々との密接な関係によって僕の自由は存在し成立しているのです。

 さて、アニメの話をしましょう。

 2008年、ウェブ上に公開された吉浦康裕の個人製作によるこのショート・アニメは国内外で注目を浴びました。
 構成としては細部の理由づけに甘い部分もあります。
 廃棄ロボットのデータ消去(初期化)の範囲とか、記憶の共有をうかがわせる伏線の未回収など。
 気になるのは、主人公・向坂リクオの友人である真崎マサカズがアンドロイドを許容しない理由です。しかし作品をみていだければわかると思いますが、幼児期の体験が起因という前提を最大限に受け入れるならばそれも容認できる範囲ではあります。
 また僕の周りでは、人物の書き込み不足をあげた人もいました。
 けれどもそれらの欠点があるとしても重要なのは、おわかりのように「テーマが鑑賞者に伝わっているか?」なのです。
 その点でこのアニメはオリジナル版、劇場版を含め、高いクオリティを創り上げています。
 「イヴの時間」は僕が好きな劇場版アニメのベスト3に入ります。

 昨今のニュースを見ていますと、ヒューマノイド、或いは、アンドロイドはそう遠くない将来に実現するかもしれません。
 ロボットがロボット然として、外見からも見て取れるうちは問題はさほど感じられないでしょう。しかし、今日のように人工細胞が作られ、それが将来、ロボット工学の分野で外装材として利用され、外見からは区別のつかないものが誕生するとしたらどうでしょう。
 更にAIの反復学習による応答が実際の人間と同等に緻密になってくれば、そこでは「意思」と言う概念は「プログラム」と大差ないものとなり得るのです。
 その時、私たちは彼らと人とをどうやって区別していくのでしょうか?アニメはそこを「似ているけど違う」とアンドロイドのアキコの言葉を使って示しています。
 「わかりたい」という衝動をプログラムとして作りあげることは可能なのでしょうか?
 「人が人であることの他の生物との違いとは相互理解への意思活動のみである」と述べた人もいました。そうなってくると境界は曖昧さをまして行きます。
 言うなれば、所詮、人もプラスティックも同じ元素できているのです。ただ配列が違うと言う僅かな差で、我々は「生命」と言うものを得て、「心」と言う概念を得ているにすぎないのです。
 人間が手で作り出したものが「人造品」であるなら、我々を生み出した手を持つ者から見た我々もまた「人造品」なのです。
 動きを与えることと、生命を与えることとの違いとはなんなのでしょうか?

 「ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その 危害を看過することによって、人間に危害を及ぼしては ならない」というアイザック・アシモフによるロボット三原則の第一条を完全順守することができるのであれば、彼等こそより相応しい存在と言えませんか?

 僕たち人間は、不完全だからこそ生きている実感があるのも事実です。
 内面において「より人間に近づける」と言うことは、不完全な精神活動を行う精密なプログラムを完成させることです。それとの差別化は、彼等より我々が精神的に劣っているということで極まりをつけなければならないと言うことになりかねません。
 奇しくも、不完全良心回路は何よりも優れた心的回路であるとキカイダーも言っています(というのは冗談です)。
 いずれにしろ僕は彼等の登場を楽しみにしています。可能なら僕が生きているうちに出会いたいものです。

 因みに、劇場版はオリジナル版を再編集し、新たに画像を加え、単独であった各話の繋がりを滑らかに仕上げています。ただ劇場版に関しては「アニメは90分前後」という上映時間の目安がありますので、カットされてしまった場面も当然にあります。できればそういったものを再度編集して完全版、できれば続編を制作していただければと思います。

 最後に歌詞にあるフレーズを。

 …心なんてきっとどこにもない。それでも僕らを作っている何かがある。…

 イブの時間 
 
 「イヴの時間」はアニメのほか、太田優姫によるコミック(ヤングガンガン)、水市恵によるライトノベル(ガガガ文庫)もあります。




 
 
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