スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

せがわ真子「花詩集」

 先日、せがわ真子さんの「青春はラブ・40」をとりあげたのですが、僕の周りから「ほかのは?」と言う声があがりましたので何回かにわけて作品を取り上げることにします。

 「わたしのお気に入り」

 わたしのお気に入り (秋田書店、昭和52年初版)

 「青春はラブ・40」の第2巻が発行されたのが昭和52年2月28日です。同じ年の8月25日に、連作読み切り「わたしのお気に入り(全3話)」と短篇3作品「もみの木館10日目に」「わたしの恋した王子様」「エリカの小経を歩くなら」を収録した「わたしのお気に入り」が発行されました。
 この序には「短篇一作のつもりが登場人物すべてが気に入ってしまいポツポツ三作まで描きました」とあります。

 わたしのお気に入りPart2&3

 表題の「わたしのお気に入り」は、内面に女の子らしいセンチメンタルでナイーブな面を有しながら、スポーツ万能で男の子勝りのテシーと都会からのハンサム転校生アーティのラブストーリーを中心に、アーティの妹メーベルとその彼氏(ちょっぴり男の娘的な雰囲気を持つ)レジナの話を織り交ぜた作品です。


 「花詩集」

 花詩集1 (秋田書店、昭和52年・53年初版)

 「花詩集」は「月刊プリンセス」で昭和52年5月号から昭和54年2月号まで全22話が連載され、昭和52年12月30日に第一巻を発行以後、第四巻(昭和54年5月8日発行)まで発売されました。
 第一話冒頭には、僕がブログ(3月8日)でとりあげた川崎洋さんの「花」が引用されていたんですね。はっきり言って忘れていました。開いてみて「あれっ?」という感じでした。

 花詩集Part1 「Part1 かりん」

 各話のタイトルは、第10話、21話と最終回22話を除き植物の名前で統一されています。
 物語は、フラワーショップを営む「咲子」、幼馴染の「三四郎」、それに消息不明になった姉「かりん」の忘れ形見「くるみ」を中心にして、各タイトルをイメージしたキャラクターとストーリーで構成されています。中には少し無理があるかなと思える話もありますが、シリーズを通じて人情味の溢れるハッピーエンドになっています。
 
 花詩集Part5&10 「Part5 つゆくさ&Part10 いしのはな」

 僕がこれを読んでいたのはえらい遠い昔のことですが、意外に記憶に残っている話も多かったです。特に次の3話は非常によく記憶に残っていました。

 「Part5 つゆくさ」は、「三四郎」が所属する西校バスケット部のライバルである北校バスケット部のマネージャー「乙美」が「三四郎」に一目ぼれをし、「S.K様へ」と書いた手紙を渡してくれるように「くるみ」に頼みます。しかし、それがこともあろうに彼女が嫌っている北校随一のプレイボーイと評判のバスケ部キャプテンに誤配達されてしまうのです。なんと二人は「加賀三四郎」と「鹿島集」。イニシャルは同じ「S.K」だったのです…という粗筋です。この話で僕は友禅染の下絵に露草を使うと言うことを初めて知りました。

 「Part10 いしのはな」は、結婚を控えた姉が本心を隠したまま嫁ぐのではないかと思い込み、姉が憧れていた先輩に一目合わせようと奮闘する妹の姿を描いた話です。地味な話なのですがあの頃はこの回が気に入っていたんですよね。
 因みにタイトルの「石の花」は1933年にフランスのCARON社から発売された香水「Fleur de Rocaille」(フルール・ド・ロカイユ)のことです。スミレ、バラ、ライラック、ミモザ、ガーデニア、ジャスミンなどが基礎香料に使われています。

 せがわ真子さんは作中に香水や詩など多様な小道具を使います。そうした中のひとつですが、宮沢賢治の童話「ポラーノの広場」が背景に置かれている「Part12 つめくさ」も印象深かったです。

 Part12 つめくさ 「Part12 つめくさ」

 ケガをした迷子の子猫をひろった「くるみ」はその手当を終え、もといた場所に返しにいきます。その子猫の首のリボンに結びつけられた一篇の詩に興味を抱いた「巽」は「くるみ」とともに野原へ向かいます。そして、そこでひとりの少女に出会います。
 少女は二人を「ファザーロ」と「ミーロ」と呼び、暮れてきた野原に咲く詰め草の中に明りが灯り、その中から「5000という数字のつめくさをみつけたら、そこかポラーノの広場なの」と言います。少女のその不思議な雰囲気につられて一緒に探し始める「くるみ」。しかし受験に失敗し失意にある「巽」は夢を信じられない。ついには夢物語を信じ続ける彼女に向かって「いいかげんに目をさましらどうなんだ!!ポラーノの広場もなければ、ぼくもファザーロじゃない!時間が大切な浪人なんだ。何の悩みもないような君のお遊びにはつきあえない」との罵声を浴びせてしまいます…。

 ラストは少し切ない別れとなるのですが、そこには詰め草の小さな花にともるかのような希望が残されます。

 「巽」の「住みにくい世の中だけどそう捨てたもんでもないって思っただけさ」というセリフは思春期の小生意気な僕が受け売りで使うにはもってこいでした。

 そう、賢治の「ポラーノの広場」の最後にはこんな歌がおかれています。

 つめくさ灯ともす 夜のひろば
 むかしのラルゴを うたいかわし
 雲をもどよもし  夜風にわすれて
 とりいれまぢかに 年ようれぬ

 まさしきねがいに いさかうとも
 銀河のかなたに  ともにわらい
 なべてのなやみを たきぎともしつつ
 はえある世界を  ともにつくらん

 花詩集3巻&4巻 「3巻・4巻」(秋田書店、昭和53年・54年初版)

 印象に残っていなかったのが意外にも最終回ですね。
 結果は覚えていたのですけど、どういう流れだったのか全く思い出せませんでした。改めて読んでみると覚えていなかったのも納得してしまうほどの性急な展開。
 21話と最終回22話は残念なできだなと思います。無理して結末を作らなくてもよかったのではないかと思います。「これからも続いていきます」的な終わり方のほうが良かったかもしれないですね。

 Part22 百花香 最終回「Part22 百花香」



   - つづく - 





スポンサーサイト

テーマ : ひとりごと…雑記…きままに
ジャンル : 日記

コメントの投稿

非公開コメント

No title

この頃の少女マンガはまさに黄金期...絵柄もストーリーもしっかりとしたものがとても多い時代でした。

自ブログでは一切の記事も書いておりませんが(アニメは少々)、実はこの時代の少女マンガのファンでございます。姉がおりましたので「なかよし」やら「マーガレット」やら...読む機会があったのです。

この頃の少女マンガとアイドル歌謡曲は共通点にあふれているように感じませんか?タイトルにしろ、コンセプトにしろ...。だから惹かれるのかもしれません。

せがわ真子さんは「花詩集」で人気でしたね。otosimono様が記事にされている「青春はラブ40」も読んだことがありますが、その他の知らない作品もここで知ることができましたので(感謝)、ぜひとも読んでみたいと思いました。せがわさんのマンガは可愛らしい絵柄が特徴で、温かくてほんわかしたストーリーが多かったように思います。

少女まんが黄金期

 CHERRY★CREEKさんのおっしゃる通りこの時期は最初の少女漫画の黄金期だったのでしょう。
 萩尾望都、竹宮恵子を中心とした「花の24年組」、或いは、「大泉サロン」と呼ばれた漫画家たち(大島弓子、木原敏江、山岸凉子、樹村みのり等)が強力な牽引力となっていた時代でした。1970年代から80年代前半は彼女たちの時代であったと言えます。
 水上澄子、せがわ真子、太刀掛秀子、小田空、くらもちふさこなどの彼女たちから少し離れたところにいた漫画家も、その潮流の中でその特色を生かして活躍していました。純粋に少女の夢を描いていた時代です。
 憧れとか、ときめきとか、ひたむきさを夢として語ることに何の衒いもなかった時代です。端的に言えば、現実の恋愛とは別にした恋愛を、大団円も悲恋も等しく夢物語として描けた時代。今から思えば、あらゆる誤解を恐れずに「好きです」と言えた最後の時代であったのかもしれません。
 「昔」と振り返ることに意味はないのかもしれませんが、そこに置き忘れてしまった大切なものがあると思うのです。
 CHERRY★CREEKさんの「昭和」を僕も応援しています。
sidetitleプロフィールsidetitle

otosimono

Author:otosimono
全く役に立たない独り言です。

sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitle最新トラックバックsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitleFC2カウンターsidetitle
sidetitleカレンダーsidetitle
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitleリンクsidetitle
sidetitleブロとも申請フォームsidetitle

この人とブロともになる

sidetitleQRコードsidetitle
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。