過去の手紙

 「迷いはいつの日もありますね。分岐点に、三叉路に出会うたびに戸惑い、迷いながら歩いています。
 何が自分にとって正しい道なのか、方向なのか。その答えは常に過去にしかなく、現在の瞬間は選択しか残されていません。
 人は『選択』することなしに生きて行くことは不可能なのです。選ぶことも選ばずにいることも同様なのです。ですから精一杯に考えたあげくの選択であれば、それはその時点ではベストなのです。
 『仕方がない』と溜息をつき嘆くことは、少しも卑怯なことでも恥ずべきことでもないのです。『悔いのない選択ができた』と胸を張って言えることは恐らく人生のうちでほんの数えるほどしかない奇跡に似たものなのです。そうでなければ自己欺瞞です。
 もし分岐点を行き過ぎてから、別の、もっと理想的な方法があったことに気づいたなら、それは確かに自分が成長したと言うことなのでしょう。僕は以前にそう言われて救われたことがあります。
 行く道がわからないのならば、とりあえず進んでみるというのも選択の一つです。引き返すことはできなくても、新たな道を探すことは常にできるのだから。諦めることは誰にでも、いつでもできます。
 だから、自分に目標があり、意思があるのなら、たとえ遠回りでもたどり着く方法をさがすべきでしょう。その回り道が、いつの日か最短距離になっているかもしれません。時間がないのではなく、自分が持っている時間に気づいていないだけなのだと思うのです。
 考えてください、精一杯真剣に(でも深刻にならないで)。
 全てを負うのは他の誰でもなく自分しかいないのですから。

 誰も傷つけずにと思うあまり自分を傷つけ、自分を傷つけないようにと誰かを傷つけ、或いは双方とも相手を労わることで傷つきボロボロになっているのかもしれません。
 でも、それが優しさから出たものなら悪意などあろうはずがないのです(害する意思から生じたものであるなら戦い方はいくらでもあります)。ただいうならば人は誰しもが不器用なのです。その不器用さゆえに傷つき傷つけているのです。
 そしてそれは時としてあなたの言うとおり、『刃物でつけられた傷は癒えても、言葉によってつけられた傷は一生残ってしまう』ものなのです。それが切ない。そして、どうすることもできません。時はそれを解決してくれはしないのです。その言葉を思い出すたびにつく傷は、その深さに違いはあっても新たに刻まれ、忘れたり、笑い話になったりはしません。

 僕は僕の隣に瀕死の怪我人がいても自分の切り傷の痛みしか感じられない人間です。
 上辺の同情はあなたを傷つけるだけで、全ての言葉を嘘にしてしまいますから慰めることもできません。
 これが現状においてあなたにかける言葉であることの不甲斐無さと残酷さを感じながら、僕はやはり馬鹿の一つ覚えのように、こう繰り返すのです。
 頑張りすぎないようにしてください。
 あなたをいつも見守っていてくれるあなた自身を大切にしてください。
 他人とは分かち合えない痛みを感じてくれるもう一人のあなたを思ってください。
 そうすればあなたは決してひとりじゃない。

 今のあなたの役に立ちそうなことを何一つ言えない僕を許してください。だからせめて、自分自身を傷つけ痛めつけるような悲しみ方はしないでください。心からそう願っています。」



 10年以上も昔の手紙です。誰に宛てたものかは忘れました。宛名がありません。これを出したのか、出さずじまいに終わったのか、その記憶もありません。机のなかに残っていたものです。使い道がないので処分しようと思っていたディスクですが内容を確認していて、何となく、今もう一度、そう思っただけです。そして、もう棄てることにします。








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テーマ : ひとりごと…雑記…きままに
ジャンル : 日記

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落ち込んでて、どうしようもなかったのですけど、私へのメールみたいで、ちょっと元気がでました。ありがとうございます。

ありがとうございます

ひまわりさん、ご訪問、並びに、コメントありがとうございます。
お役に立てたかどうかはわかりませんが何かの気休めにでもなれたのならば嬉しいです。
これからも私事のおしゃべりにお付き合いいただければ幸いです。
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全く役に立たない独り言です。

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