PERRAULT'S FAIRY TALES (Honor Charlotte Appleton )-20世紀初頭の挿絵-

 僕としては意外でしたがテニエルよりもリクエストの多かったアップルトンの挿絵本を一冊取り上げます。

 1913年に刊行された「ペロー童話集」です。アップルトンの略歴は前回触れたので、今回は「ダンテの神曲」「ミルトンの失楽園」などで有名な19世紀末に活躍したポール・ギュスターヴ・ドレ(1832年1月6日– 1888年1月23日)の挿絵を何枚か交えてご紹介していきます。

 “PERRAULT'S FAIRY TALES” (1913年)

 perrault01
 (London Simpkin,Marshall,Hamilton,KENT & Co, Ltd)

 ペローの童話集はグリムよりも前に編纂されていて、民間伝承を基礎とした物語集としては最も古いもののようです。このペローの成果が好評を得て、フランス・サロンでの朗読と言う枠から広がって行き、児童文学と言う一大事業への流れが生じたとも言われています。「マザー・グースの歌」(オールド・ナーサリー・ライム)の収集が始められるのもこの後になります。

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 アップルトンが挿絵を施したこの本に収録されているのは「眠りの森の美女」「赤ずきん」「青ひげ」「長靴をはいた猫」「 仙女たち」「シンデレラ 」「巻き毛のリケ」「親指太郎」の8篇、挿絵はフルカラー12枚です。口絵「七里の靴」(“ 親指太郎 ”より)に続いて扉と目次を挟んで「眠りの森の美女」です。

 dore 03 「眠りの森の美女」(P.G.Dore)

 この童話集はペローの原作通りではなく“S.R.Littlewood”によって再話がなされています。
 ペローの童話は子供向けとしては描写が不向きな部分があります。
 もちろん、この童話集は民間伝承をまとめて、読みやすくペローの手によって改作されたものではありますが、それでも若干ですが道徳的に憚られる部分があります。
 「赤ずきん」などは、一般的に知られているのは狼に食べられた後、助け出されることになっていますが、原作では食べられたままですし、間接的にですが赤ずきんが性的に狼を誘惑するような台詞もあります。またギュスターブ・ドレの「ペロー童話集」ではペローの描写通りに赤ずきんは裸で狼とベッドを共にしています。リトルウッドはそういった部分に多少手を加えました。
 
 perrault03 H.C.Appleton dore00 P.G.Dore

 「赤ずきん」の挿絵は表紙絵と同じものを用いています。アップルトンはここでは通説?通りに可愛い少女像で描いていますが、一世代前のギュスターブ・ドレの挿絵では原作を生かしてもう少しエロティックに表されています。
 次が「青ひげ」です。アニメ「Fate/Zero」で人気がでたサーヴァントのキャスターであり、ジャンヌ・ダルクの盟友でお馴染みのジル・ド・レーをモデルとした物語です。
 ドレの挿絵を見ると目つきが「Fate/Zero」のジルそのものです。これが原案かもしれないですね。隣の絵は同じくドレの「親指太郎」です。

 dore 05

 次は「長靴をはいた猫」と「仙女たち」です。
 
 perrault04

 「仙女たち」とタイトルをおくと「どんな話?」と思う方もあるかもしれません。粗筋を読めば「ああ、あの話か」と思い当たるでしょう。こんな話です…。

 昔あるところに母親と二人の娘がいました。母親は自分によく似ている長女ばかりをかわいがり、下の娘には辛くあたっていました。
 あるとても寒い日のことです。母親は下の娘に水をくむように命じました。下の娘が桶をもって井戸端に行くとボロをまとった女の人が立っていました。娘が水を汲んでいると「お水をわけてもらえませんか?」とその女性が話しかけてきました。娘は快く水を分けてあげると「なんと心優しい娘でしょう。お礼にこれから先、あなたが話せばその口からバラの花と宝石が飛び出すようにしてあげましょう」と言って魔法をかけてくれました。
 家に帰った娘は母親と姉に口から飛び出してきたバラの花と宝石を見せて、不思議な女の人の事を話しました。
 その話をしている間にも香り立つバラの花や色とりどりの宝石が口からこぼれました。
 母親と姉はその宝石をひろい集めました。そして姉は、「私も同じようにしてもらうわ」と言って井戸へ走って行きました。
 井戸へ行くと先ほどと同じようにボロを来た女性が立っていて、同じように話しかけてきました。
「すみませんが、お水を一杯、飲ませてもらえませんか?」
 ところが姉は浮浪者のようなその身なりを見て「おお、汚らしい!お前なんか、あっちへお行き!」と、ひしゃくで水をすくって女性の顔に浴びせました。すると女の人は姉を睨みつけて「なんと心の醜い娘でしょう。これから先、あなたが話せば毛虫や蟾蜍が口から飛び出すようにしてあげましょう」と呪いをかけて消えてしました。
 姉が「まってください」とあわてて言うと、その口から本当に毛虫や蟾蜍が次々と飛び出してきたのです。
 上の娘のその様子をみて怒った母親は、下の娘を家から追い出してしまいました。
 追い出された妹は森をさまよっていました。そこへひとりの王子が馬に乗って通りかかりました。
「お嬢さん、こんな深い森の中でどうしたのですか?」
 娘は泣きながら一部始終を話しました。そして、そう話す先から次々にバラの花や宝石がこぼれ出てきます。
 王子はその愛らしさに心惹かれて、娘を連れて帰り、結婚して幸せにくらしました。

 dore 02 「長靴をはいた猫」(P.G.Dore)

 アップルトンは「シンデレラ」に3枚の挿絵を置いています。

 perrault05

 場面は異なりますがドレも同じように3枚の挿絵を描いていますので見比べてください。

 dore 01

 最後は「巻き毛のリケ」と「親指太郎」です。
 「巻き毛のリケ」も少し馴染みがないかもしれないので手短にご紹介しておきます。

 ある国で王子が生まれました。見事な金色の巻き毛を持つ王子は「巻き毛のリケ」と呼ばれました。しかし、その王子は非常に醜い容貌をしていて王も妃も心を痛めていました。しかし、そこに妖精が現れて才知を授けるとともに、彼が愛した女性にその才知を分け与える力を与えました。
 また、別の国では二人の王女が生まれていました。ひとりは非常に醜いが才知に恵まれ、もうひとりは輝くばかりに美しいが非常に愚かなお姫様でした。そこにも妖精が現れて、賢いお姫様には愛した相手を賢くする力を、美しい王女には愛した相手を美しくする力が与えました。
 やがて年頃になり、醜いが賢い王子とふたりのお姫様が出会いました。
 美しいお姫様は、王子があまりに醜いため避けていましたが、その機知に富んだ話や優雅な物腰に次第に惹かれていきました。
 醜い王子は美しいお姫様を愛したのでお姫様はだんだん賢く思慮深い女性となり、美しいお姫様も王子を愛したので王子は美しい姿となり、2人は結婚して幸せに暮らしました。

 という話ですが、これって素直にハッピーエンドと言いにくくないですか?「醜くて賢いお姫差はどうなったんですか?」って突っ込みたくなります。なんでもうひとり「美しくて愚かな王子」を用意してくれなかったのでしょうね。そうすれば二組が幸せな結末を迎えられたのに(すみません、挿絵とは関係ないですね)。

 perrault06 「巻き毛のリケ」 perrault07 「親指太郎」

 おまけにウォルター・クレインのトイブックから「赤ずきん」の挿絵を添えておきます。

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