伊賀の影丸 … 僕の最初の一冊

 体調を崩したのと多忙のため更新ができずに日が経ってしまいました。なんとか体調も持ち直してきたので、少し僕の漫画始めの話をしようかと思います。

 僕の漫画好きはどこから、いつから始まったのかですが、これには明確なものがあります。自分で漫画本を買い、没頭するきっかけになったのは、小学4年の頃、埼玉療養から東京に帰ってきてからになります。それ以前にも少年雑誌など見てはいましたが、テレビアニメや特撮ヒーロー番組が中心であり、自分で雑誌や単行本を買うなどは全くありませんでした。
 僕の漫画の話題は少女漫画にシフトする傾向がありますが、最初から少女漫画に浸かっていたわけではなく、始まりはきちんと少年漫画にありました。
 記念すべき最初の1冊は、隅田川沿いにある白髭神社の縁日の夜店で10円で買った横山光輝の「伊賀の影丸」でした。これは1961年から1966年まで「週刊少年サンデー」に連載された少年忍者漫画です。黒装束に鎖帷子と言う忍者装束を僕の中に定着させた漫画でもあります。
 
 夜店の茣蓙の上に投げ出され広げられたあまたの古本から手にした1冊です。友達に連れていかれ、別に興味もなく拾い読みしていたのですが、数ページめくっただけで「影丸」の世界にはまりこんでしまいました。それから縁日の度ごとに「伊賀の影丸」を買い込み、ついで「カムイ外伝」、「火の鳥・未来編」など次第に広がって行きました。

 伊賀の影丸 (秋田書店)

 「伊賀の影丸 第1巻」は、承応2年(1653年)から始まります。
 影丸は1650年代、ちょうど徳川3代将軍家光が死去し4代将軍家綱(当時11歳)に変わった時代を舞台として活躍します。
 この当時はどういう時代背景にあったかと言いますと、徳川幕府の基盤構築時期にあり、強権な武断政治が推し進められていたと同時に、その転換期でもありました。
 幕府に対して反感を持つ大名や重鎮の粛清、藩の取り潰しが盛んに行われた結果、浪人が増加し、その不満から天皇を擁しての倒幕を企てた由井正雪の乱(慶安の変・1651年)や幕府老中暗殺を狙った承応の変(1652年)など江戸を震撼させる事件が続いた時期に当たります。

 由井正雪の乱は影丸の本編でも取り上げられていますし、数々の時代劇の中でエピソードとして、或いは、単独の映画として制作されてもいる有名な同時多発テロ事件でした。
 丸橋忠弥が江戸の町を焼討ちし江戸城にいる老中や旗本を討ち取り、京都では由井正雪、大坂で金井半兵衛が同時に暴動をおこし、その混乱に乗じて天皇を誘拐し倒幕の勅命を出させ、幕府の転覆を謀るものでした。が、奥村八左衛門の密告で計画は事前に露見し、正雪の自刃と言う形で頓挫しました。

 承応の変は、別木庄左衛門が、林戸右衛門、三宅平六、藤江又十郎、土岐与左衛門とともに増上寺で営まれる崇源院(徳川秀忠の妻)の第二十七回忌を機に、老中暗殺を計画したものです。しかし、仲間の1人が造反し松平信綱に密告したため、暗殺計画は未遂に終わり、加担した一味が捕らえられ処刑されました。幕府はこれを理由に当時著名な軍学者であった石橋源右衛門、老中阿部忠秋の重鎮であった山本兵部にも罪を負わせて粛清しています。

 相次ぐクーデター未遂事件の後、徳川幕府は武断政治の転換を迫られ、老中阿部忠秋や中根正盛らを中心として政治改革がなされ、浪人対策や改易処分の緩和などを推進し、所謂、文治政治へと移行していくことになります。
 
 この武断政治を背景として地方大名などの偵察にあたっていたのが公儀隠密であり、忍者でした。まさに忍者が暗躍するに必然の理由がある相応しい時代であり、その中心が年若い天才少年忍者という設定は、まさに理想的であったと思います。史実の事件を巧みに織り交ぜて空想冒険譚を展開する横山光輝の手腕が遺憾なく発揮された名作です。
 「伊賀の影丸」以後、僕は横山光輝作品に傾倒し、「狼の星座」、「水滸伝」、「三国志」、「項羽と劉邦」などの中国を舞台とした漫画に嵌まり込み、次いで小説へと興味が移行しました。

 これが僕の自発的な漫画収集のきっかけとなり、さらには後年の(現在に至る)古書収集の萌芽であったのかもしれません。

 


 
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